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修正したい過去はありますか?やり直しがきかないから人生は尊い〚バタフライエフェクト〛:ネタばれなしの映画レビュー

バタフライエフェクト(butterfly effect)とは

 

力学系の状態にわずかな変化を与えると、その後の状態が大きく異なってしまうという現象のことを指す。
つまり、非常に小さな事象が因果関係の末に大きな結果につながるという考え方である。

これは、1972年マサチューセッツ工科大学の気象学者エドワード・ノートン・ローレンツが発表した、「ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか?」という論文がもとになっているそう。

 

bookdogくん
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「クレオパトラの鼻が低かったら、歴史の曲面は変わっていただろう」という言葉も、似たような発想だと言われているよ。

クレオパトラじゃなくても、すべての人間がささいな行動で、どこか遠くの未来を変える可能性があるなんてすごいことだよね。
これを知った時は、1か月くらい昼も夜もこのことばかり考えていたなぁ。

今日紹介する映画は、タイトルの通り「バタフライ効果」がテーマになっているよ。

 

ストーリー

 

父親が精神病院に入院しているため、母親と二人暮らしのエヴァン。
たびたび記憶を失うため病院を訪れたエヴァンは、医師の勧めにより日記をつけ始めた。

エヴァンが7歳の時、この物語のキーパーソンとなる4人が出会う。

やがてケイリーとトミーの両親が離婚。
ダメな父親に引き取られてから、サイコパスな面を開花させるトミー。

エヴァンが13歳になった時、事件は起こる。

ある日トミーが「民家にダイナマイトを仕掛ける」といういたずらを発案し、その家に住む母子が爆死してしまう。

実行犯となったレニーは強い精神的ショックを受け心を病むが、トミーはこの事件で快感を得、その後も行動をエスカレートさせていく。

トミーによって飼い犬を焼き殺されたことをきっかけに、エヴァンの母は町を出て行くことを決断。エヴァンはケイリーのことを気にしながらも、母と共に町を後にする。

 

20歳になったエヴァンはリア充な大学生となり、子供時代の出来事を記憶の奥底に追いやったまま、幸せに暮らしていた。

出典:https://movies.yahoo.co.jp/movie/321766/

ある日昔の日記を読み返したエヴァンは、うっかりタイムリープ。タイムリープ能力を持ってることに気づく。

幼馴染のことを思い出したエヴァンが会いに行くと、子供の頃に恋心を抱いていたケイリーは不幸のどん底におり、エヴァンが会いに行ったために自殺してしまう。

エヴァンは、彼女を救うためにタイムリープし過去を書き換えることにした。

 

bookdogくん
bookdogくん

leap=跳躍という意味なので、タイムリープは「時間跳躍」という意味になる。

「タイムトラベル」という言い方の方が耳なじみがあるけれど、「タイムリープ」はより瞬間的に移動するイメージだよ。

 

この映画のタイムリープのルール

 

エヴァンのタイムリープの条件は、「昔の日記を読む」こと。
日記を読んでいるうちに字が揺れ出し、吸い込まれるように過去に移動する。
移動といっても体ごと過去に移動するのではなく、過去の自分の意識に入るカタチ。
移動できる場所は「過去に記憶を失ったことのある時点」に限定されている。

過去に記憶を失ったのは以下の6つの時点。

1.人を殺した絵を描いた時
2.ナイフを手に台所で立ち尽くしている時
3.ケイリーの父親に「児童ポルノ」を撮影するために裸にされた時
4.入院中の父に面会に行き、首を絞められた時
5.ダイナマイトを民家の郵便ポストに仕掛けた時
6.飼い犬がトミーに焼き殺された時

 

このどこかの時点にタイムリープし、実際に行った選択とは違う選択をする。
すると現代に引き戻され、過去を変えたことで変化した結果を見ることになるのだ。

タイムリープをすると、修正した時から現在までの記憶が、走馬灯のように一気に脳内で再生される。

そのため脳内出血が起こり、頭痛や鼻血を引き起こす。

日記の文字からタイムリープするなんて斬新だし、よく考えられた脚本だと思う。

 

他の作品のタイムリープ

 

時間を移動する作品は「タイムリープもの」とか「タイムトラベルもの」「ループもの」と呼ばれ、フィクション作品の定番の題材である。

一口にタイムリープといっても色んなパターンがあるので、いくつか紹介してみようと思う。

 

「バックトゥザフューチャー」

「デロリアン」と呼ばれる車型タイムマシンを用い、過去にも未来にも行くことができる。その時代を生きている自分と重複して存在するのが特徴。

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「時をかける少女」

走ってジャンプするとタイムリープ。
現在の記憶を残したまま過去の自分に戻るので、過去の自分と鉢合わせすることはない。

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恒川恒太朗さんの小説「秋の牢獄」

こちらは、同じ日を延々と繰り返すというタイムリープ。
1日が終わると、記憶を保持したまま同じ日をまた最初からやり直す。
絶対に翌日に行けない、不本意なタイムリープはまさに牢獄。

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色々な方法があるけど、自分だったらどんなタイムリープがしたいかなぁ。

 

 

悲しきラストシーン(最後のタイムリープ)

 

誰もが幸せになれる完璧な未来を求めるエヴァン。
しかし何度過去をやり直しても、運命は思わぬ方向に転がっていく。

人間は神にはなれない

「未来を変える」という行為がタブーであるからこそ、神に対する越権行為に人間は憧れる。

人間は誰もが間違った選択を後悔したり、大切な人を失って悲しんだりもする。
だけど受け入れて前に進むしかない。
タイムリープの能力を持たない我々は、常に一発勝負なのだから。
やり直しがきかないからこそ、人生は尊いのである。

とうとうエヴァンは、「どの時点を変えるのが最良か」ということに気づく。
皮肉にも、最後のタイムリープによってもたらされるだろう未来は、エヴァンが当初目指していたものではなかった。
ケイリーに対する「無償の愛」が、この悲しき挑戦を終結させたのだ。

最後のタイムリープに関しては、ちょっとした矛盾を感じなくもないが、切なく美しいエンディングに号泣してしまった。

本当の愛っていうのは、結局はここに行き着くんだなぁ。

この映画が完成されたサスペンス、SF、ミステリーであるのと同時に、非常に良質な恋愛映画であることも見逃せない。

 

 

別エンディングの存在

 

「バタフライエフェクト」には、別の3つのエンディングが存在する。

1.2. レンタルDVDスペシャル特典映像
3. セルDVDのディレクターズカット版

1. は、ハッピーエンドに転がる可能性もなくはない。でも「2人が出会うと誰かが不幸になる。」という、神の定めた法則がありそうなので、また悪い方向に進みそう。切ないまま終わってほしいよホトトギス。

2. こちらは全く意味不明としか言えない。

3. バッドエンド。つじつまが合うのか合わないのか悶々とする。捻りすぎ。恋愛要素が急になくなり、ただのSF映画に格下げされてしまう。

bookdog的には、やはり公開版の美しく切ないエンディングが1番良いと思う。

過去に戻って未来を変えることができたら
っていう妄想をしたことがある人には、かなりおすすめです。

 

The Butterfly Effect
2004年 America
directed by Eric Bress / J. Mackye Gruber

ABOUT ME
bookdog
Netflixが好きなBOOKDOGです。 主に「ルポールのドラァグレース関連記事」「ブログ作成のお役立ち記事」をゆるりとUPしています。 関係ないことも時々呟きます。