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中高生におすすめ!生きる希望をくれる〚かがみの孤城〛レビュー

2017年発表
2018年本屋大賞受賞

作者:辻村深月
1980年山梨県出身

あらすじ

同級生からのいじめが原因で、不登校になってる中学1年生の「こころ」
ある日鏡の中に吸い込まれ、連れていかれた先は「孤城」と呼ばれる立派な城だった。

そこには自分と同年代の男女6人が集められており、狼の仮面をかぶった「オオカミさま」と名乗る少女が彼らにこの城のルールを告げる
・城が開くのは9時から17時。時間を過ぎても城に残っていたら狼に食われる
・この城は願いを叶える城、「願いの部屋」を見つけたただ一人だけが願いを叶えることができる
・誰かが願いを叶えたら、その時点で城は閉じ、みんなは城に関する記憶を失う
・期限は3月30日、「願いの城」が見つからなくても城はその日で閉じる
・「願いの部屋」が見つからなければ、期限が来て城が閉じても記憶は残る

7人は絆を強め、やがて自分たちが孤城に集められた理由に辿りつき、協力しあって現実に立ち向かおうと動き出した時、誰かのルール違反により終わりは突然訪れる。

—7人がどこから来たのか
—「オオカミさま」は誰なのか
—誰が、なぜ、ルールを破ったのか
—そして誰の願いがかなえられたのか

全ての点が線で結ばれ、彼らは未来へ向かってそれぞれの道を歩き始める。
一気に伏線を回収し真実が明らかになる、希望溢れるラストに感動の涙が止まらない。

辻村さんといえば、繊細な心の動きを描くのがとても上手だが、本作では傷つけられた子供の心を驚くほど丁寧に繊細に描いている。
30代になって、母親になって、こんな作品を書けるなんて驚きである。
本当の意味で「子供の心を失っていない大人」とは、こういう人の事を言うんだろう。

たかが学校、されど学校

 

子供たちは、無作為に選ばれ学校に通う。
教室がマイノリティの集まりであっても、そこから外れたものが「変わっている」という烙印を押されてしまう。
子供の世界特有の、罪の意識のない悪意の標的になったりもする。
辻村さんの描く美織の悪意は本当にリアルで、教室特有の閉塞感を思い出して鳥肌が立った。
本当に深刻なのは目に見えるいじめではない。
仲間外れ、かすかに聞こえる悪口、ヒソヒソ話、その場にいないとわからない嫌な視線、目配せ。
そういう空気感が一番心にダメージを与える。
標的となった者以外にはわからないことも多いため、教師や大人が気づきにくく深刻化する。
その上、いじめを主導する者は良い子の演技が上手く、言葉巧みであることが多いため、教師ですら丸め込まれる。
美織をかばう教師がそのいい例である。

大人になって振り返ると教室はとても小さな箱に過ぎないのだけれど、理屈が通らないこともあるし、どんなに心を通わせようとしても会話が通じない人もいる。

ただ・・・

相手を変えることは簡単じゃない

 

だから自分を責めるのではなく、「ものの見方」を変えてみてほしい。
例えばそれは「学校に行かなくてはならないという固定概念を捨てる」ことだったり、「他の場所に居場所を求める」ことだったり、「心をすり減らして友達を作るなら、1人でいることを選ぶ」ことだったり。
新しい「ものの見方」は無限にある。
自分にとって都合のいい、自分が救われる方向に見方を変えればいいのだと思う。
自分を苦しめる「アイツ」のための人生じゃない。
自分の人生なんだから。
そして、助けを求めることを諦めないでほしい。
いじめられていることに後ろめたさを感じる必要はないし、助けを求めて誰かに裏切られたとしても、あなたを救ってくれる人は必ずどこかにいるから。

7人はちょっとずつお互いの距離を縮めていき、強い信頼関係で結ばれることとなる。
自分のことで精一杯だった7人が、お互いを思いやれる人間に成長していく様子に、深く感動し涙が溢れた。

この一年近く、ここで過ごしたこと。友達ができたことは、これから先もこころを支えてくれる。私は、友達がいないわけじゃない。この先一生、たとえ誰とも友達になれなかったとしても、私には友達がいたこともあるんだと、そう思って生きていくことができる。

こころの「ものの見方」が変わったなぁと思える一文だ。
誰かに支えてもらった記憶や誰かを支えた記憶が、生きる希望になる。

物語の最後、ある人が「こころ」に向けて言った「大丈夫だから、大人になって」という言葉は、全ての子供たちに向けた著者のメッセージのように思えた。

 

 

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